2012-10-16

僻地研修を終えて

 

10月に入り、早くも半月が経とうとしています。
鹿屋に帰って参りました。村場です。

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8,9月に僻地研修へ行っておりましたので、そのご報告をします。
山北徳洲会病院は、新潟県と山形県の県境にあります。
僻地研修という名の通り、決して利便はよくありません。娯楽もありません。
医療資源も例外ではありませんでした。
深夜に具合が悪い患者さんがくると、看護師、検査技師さんは呼び出されます。呼び出すかどうかを決めるのは、医師である私です。「今」本当に必要な検査のみをオーダーしなくてはなりません。自分の安心のための検査は出せません。大隅鹿屋病院にいた時とは違い、ひとつの検査を出すのにとても悩むこともありました。

また、医師の数が少ないため、一人で診療するチャンスも増えます。自分の診療がうまくいけば、それが正しかったということになります。患者さんの具合が良くならなければ、立ち止まって考えなおさなければなりません。治療の困難さは、疾患によって異なりますが、その結果はすべて自分が受け止めなければなりません。指導医のもので診療していたときは、ほとんど感じることのなかったことでした。
辛いこともたくさんありましたが、嬉しいこともありました。ひとつだけそのエピソードを紹介したいと思います。
80代の女性でした。食事がとれず、最近元気もないといって、前医から引き継いだ方でした。私が初めて見たときは寝たきりで、2ヶ月前まで家で暮らしていたとはとても思えないような状態でした。しかし、それは病気のせいでした。当時は原因がわからず、自分で出すべき検査を考えて、結果を見ながら悩みました。悩みに悩みつくして、苦渋の決断で薬(比較的副作用の強い)を出しました。その薬を飲むようになってから、次第に元気が出てきて、食事も取れるようになりました。1ヶ月後、私が帰る頃には杖で歩けるようにまでなりました。その頃になって初めて、もともとは性格の明るい方だと知りました。およそ2ヶ月が経ち、私が病院を離れる前に、その方は言いました。
「あの時は、逝くと思ってた。先生が助けてくれたんだ。先生さ、いなくなったら寂しいのぉ。せっかく、いい先生見つけたのに。」

辛いことも自分が受け止めなければならない研修でしたが、喜びもいただいた研修でした。
120床という小さな病院でしたが、たくさんの経験をさせてくれました。
山北徳洲会病院。ありがとうございました。

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