2009-11-24

DOAとCPA

2009年11月24日
DOAとCPA
救急部長 木村圭一
江口先生と私の記事が続いていますが、整形外科が暇と言う訳ではありません(^.^)。

私が研修医の頃、当直をしていると「先生!今からDOA(ディー・オー・エー)が来ますよ!!」と言って看護婦さん(当時は看護士と言えば男性のことでした。看護師と言う言い方が出来たのは2002年3月です。)から起こされると、眠気も吹き飛んだものです。

DOAはdead on arrivalの略で、正確に訳せば来院時死亡ですが、来院時心肺停止のことです。今なら「先生!CPA(シー・ピー・エー)が来ますがよ〜!」となります。

いつの頃からか、deadした人に処置をすると言うのはおかしいのではないか?と言う意見が出て、DOAではなく、CPAOA(シー・ピー・エー・オー・エー)と呼ぶべきだと言われ始めました。用語に厳しい先生が指導医にいて(だから、当院で研修すると用語に厳しい指導医になりますよ(^.^))、DOAと言ったら怒られました。CPAOAでしょ!って。

非常に面倒で、だったらdying on arrivalだからDOAと言えば良いのでは??と言う偉い先生の意見を読んで喜んだりしていました。英語の進行形は動作の途中と言う意味ですので、dyingはdieの途中と言う事ですから問題なかったですが、、、、

看護師とか師長(当時は婦長でしたから)と呼ぶのにかなり違和感が逢ったのと同じで、CPAもかなり違和感がありました。が、今はCPAと言うのが定着していますね。なぜ来院時を表すOAが省略されたのか分かりませんが、、、、やはり略語は3文字か4文字が良いのでしょうね。

色々変わって行くものがありますので、若い先生達は指導医から昔の話を聞くのは面白いかも知れません。時々一緒に飲みに行ってもらえると嬉しいです(^.^)。

ちなみに、CPAは、心肺停止(cardiopulmonary arrest)の略であり、決してCertified Public Accountant(公認会計士)がやってくる訳ではありません。CPAが沢山来る病院は忙しいために、経営は安定していますので来年当院に入られるみなさん、ご安心を。

今はDOAと言えば、血圧を上げるためのドーパミンと言う薬の事ぐらいですね。

さて、そろそろ次は、、、、PTCAがPCIになった理由を○○君が書いてくれると思います。お楽しみに。



4 件のコメント:

  1. 木村 圭一2009年11月25日 7:38

     ちなみに、救急科専門医(当時は認定医だったかも知れません)の筆記試験問題に以下のような物が出ています。
    平成11年実施
     問題1 心肺蘇生について正しいのはどれか。
    ��1)救急車内での心肺停止はoh-CPAである。
    ��2)来院時に心肺停止状態にあるものをDOAという。
    ��3)救急車内で心拍再開したものをROSCという。
    ��4)来院直後に心肺停止状態になったものをCPAAAという。
    ��5)心拍再開し入院となったものを蘇生例と言う。
    平成12年実施
     問題93 正しいのはどれか。
    ��1)救急車内での心肺停止はoh-CPAである。
    ��2)救急車内で心拍再開したものはoh-CPAである。
    ��3)来院時に心肺停止状態にあるものをDOAという。
    ��4)心拍再開し入院となったものを救命例という。
    ��5)院着後に心拍再開したものをROSCという。
    oh-CPAはout of hospital CPAらしいです。Oh! CPA is coming!と言っている訳ではありません。
    CPAAAは、CPなAAA(腹部大動脈瘤)ではなく、CPA immediately after arrivalだそうです。
    ROSCはreturn of spontaneous circulationです。
     マニアックな方は以下をご覧下さい。
    http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/99/CPA1.htm
     ややこしいですが、用語は正確に使わなければなりませんね。

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  2. 「○○君」とは先輩の有馬大先生でしょうか?
    経皮的冠動脈形成術
    PTCA(percutaneous transluminal coronary angioplasty)が冠動脈インターベーションPCI(Percutaneous Coronary Intervention)になった理由を教えて下さい。

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  3. 有馬 喬(当直中)2009年11月27日 9:48

    江口先生のご指名ですので諸先輩方の前で僭越ではございますが、簡単に説明させて頂きます。(結婚式の挨拶みたいですね。)
    江口先生の言うとおり、PTCAは、Percutaneous Transluminal Coronary Angioplastyの略です。日本語にすると、経皮的経管的冠動脈形成術となります。
    1977年にスイス、チューリッヒ大学のグルンツィッヒ先生が世界で始めて風船を使って冠動脈治療を行いました。当時、その「風船(のみの)治療」をPTCAと言っていました。
    その後、ステント留置やローターブレーター等、風船以外の色々なデバイスやテクニックが開発され、言葉の混乱を避けるために、「経皮的に冠動脈をどうのこうのするもの全て」を冠動脈インターベンション(PCI;Percutaneous Coronary Intervention)というようになりました。
    現在では「風船(のみの)治療」という意味のPTCAを、POBA(Plain Old Balloon technique)と表現します。
    ちなみにStentは歯医者さんであったStent先生の名前が由来と言われています。詳しくは知りませんが、歯列矯正で使う支えみたいなやつのことを当初ステントと言ったようです。
    ところで、整形外科研修中の江口先生が使うコッヘルは甲状腺外科の父、コッヘル先生の名前から来ています。発音は用語にうるさい木村軍曹に聞いて下さい。
    ではおやすみなさい。

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  4. 有馬先生解説ありがとうございます。勉強になりました。
    が、私が言いたかったのは、、、、、記事にして欲しいと言う事でした。私と江口君ばっかりではね、、、、
    説明不足で済みません。
    是非ステントの歴史について教えて下さい。
    ちなみにコッヘルは、コッホエルみたいな発音です(クラス未確定)。

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